自然無痛分娩(オンデマンド無痛分娩)ってどんな感じ?【現役医師が解説!】
現役医師が解説!
自然無痛分娩(オンデマンド無痛)のメリット・デメリット!
「無痛分娩にも色んな種類があるって本当?」
「自然無痛と計画無痛のどっちが良いの?」
無痛分娩に決めたけど、計画無痛分娩にするか自然無痛分娩(オンデマンド無痛分娩)にするかどうしよう…
と悩む妊婦さんは多いのではないでしょうか。
それぞれにメリットデメリットがあるので、まずはそれぞれの特徴をしっかり把握してから判断すると良いでしょう。
今回は無痛分娩の現場で働く医師である私が自然無痛分娩(=オンデマンド無痛)について計画無痛分娩との違い、メリットデメリットについて詳しく解説していきます!
※ここからは便宜上、オンデマンド無痛分娩もまとめて自然無痛分娩と表記します。
<目次>
1.結論
2.自然無痛分娩とは
3.計画無痛分娩との違い
4.実際の流れ
5.メリット
6.デメリット
7.注意点
8.医師からの一言
1.結論
『自然無痛分娩(オンデマンド無痛)』とは文字通り、自然に陣痛が始まるのを待ってから無痛分娩を行う方法を指します。
赤ちゃんと子宮の準備が整ってから分娩を開始するため、自然なお産を経験することができます。
また自然無痛分娩を実施している産院は24時間対応が多く、急変時の対応が十分整っている施設が多いです。
そのため、『自然なお産を経験したい』、『高齢出産』、『合併症があってリスクが高い』といった妊婦さんにはオススメかもしれません。
2.自然無痛分娩(オンデマンド無痛)とは
自然無痛分娩は、自然に陣痛が始まるのに合わせて無痛分娩を行う方法です。
陣痛が始まるまでは自宅で過ごし、陣痛が始まったと思ったら病院を受診し、そこで医師の診察を受けてから無痛分娩を始めるという方法です。
子宮頸管が熟化して、赤ちゃんが降りてきた状態で分娩を開始するので生理的な準備が整ったタイミングでお産を始められます。
Point:自然無痛分娩では『自然な陣痛を迎えられる、出産日は未定』
3.計画無痛分娩との違い
計画無痛分娩とは、文字通り出産予定日をあらかじめ決めておきます。
そしてその日に子宮頸管を拡張させるバルーンや陣痛誘発剤を使用してお産を誘発し、同時に無痛分娩を開始する方法です。
決められた日に入院して無痛分娩を開始するため、出産および出産後の予定が立てやすいのが特徴です。
Point:計画無痛では『陣痛は薬で誘発する、出産日は予め決めておく』
4.自然無痛分娩の流れ
では実際に自然無痛分娩の流れを見ていきましょう。
①まずは外来で医師に無痛分娩の希望を伝える
無痛分娩の申し込みは外来で行うことが多いです。ただし、産院御三家などの人気の自然無痛分娩の病院だと妊娠8週ほどで予約が埋まることもあるので要注意です!
②施設にもよりますが、妊娠35週前後で無痛分娩外来を受けます
安全な無痛分娩を行うために、医師が予め問診・診察をします。そこで無痛分娩の説明があるので、気になることがあればしておきましょう。
③その後は陣痛が始まるまで待機!
入院になる陣痛の定義は病院によって様々ですが『規則的(10分間隔以内)でかつ姿勢や動作によって痛みが変わらない』ことがポイントです。
陣痛が始まった or 破水の感覚があった場合はすぐに病院を受診します。病院によっては電話対応や送迎対応があるので事前に確認しておくと良いでしょう。
④病院に到着後は医師・助産師の診察!
子宮口の開大、子宮頸管熟度、胎児の頭の位置と向きなどを確認し、陣痛が始まったと判断されれば入院・分娩の準備を進めていきます。
稀に、『前駆陣痛』と呼ばれる陣痛の前段階と診断されることもあり、その場合は再び自宅に戻って陣痛が来るのを待つことになります。
⑤入院後は、安全なお産のために点滴、分娩監視装置、血圧、酸素化などのモニタリング開始
入院した後は安全にお産を進めるためにモニターを付けたり、点滴を取ったりします。
注意点としては、陣痛が始まって入院しても、すぐに無痛分娩を受けられるとは限らない点です。
⑥お産の進行を認めたら無痛分娩が開始!
陣痛が始まっても無痛分娩をすぐ開始できない理由は、無痛分娩を行うと陣痛が遠のくことがあるためです。
そのため多くの病院では、お産が十分に進んでいることを確認した上で無痛分娩を始めることが多いです。
子宮口の広がりがまだ悪い、子宮頸管がまだ熟していないなど、子宮の状態によっては無痛分娩を開始せずに子宮の準備が整うまで待たないといけない場合があります。
施設によって異なりますが
子宮口が3〜5cmほど開く
のが一つの目安です。
定期的に内診を行って、お産の進行を確認した上で医者が無痛分娩のGOサインを出します。
⑦医者からのOKサインが出ればいよいよ無痛分娩の開始です
無痛分娩では背中から背骨の隙間に針を入れてカテーテルを留置します。
かかる時間はおよそ
準備10分、実施10分、効果確認10分ほどの計30分ほどです。
詳しい無痛分娩の麻酔のやり方はこちらをご参考ください
【現役医師が解説】無痛分娩・硬膜外麻酔のやり方とそのコツとは?
カテーテル留置後はそこから局所麻酔薬をメインに入れていき、痛みを取っていきます。
麻酔の効果は麻酔を入れてから大体10〜20分ほどで見られます。
⑧無痛分娩開始後は、以下の制限があります
食事は禁止(アメなどは施設によって許可)
ジュースも禁止(水やスポーツドリンクなどはOK)
トイレは導尿(麻酔でふらつくリスクがあり、立ち上がるのが危険)
また、無痛分娩中は、麻酔がしっかり効いているか麻酔科医が定期的に確認しに来ます。
氷や冷たい布を当てるCold test と呼ばれる作業で確認します。麻酔が不十分であれば麻酔薬を追加したりします。
もし足が痺れるなどの症状があれば麻酔が効きすぎている可能性があります。早めに助産師さんや医師に伝えると良いでしょう。
★お産の終盤に差し掛かると、痛みの性質、強さが変動し、麻酔が効きにくいことがあります
その時は強めの麻酔薬を使用できる場合があるので早めに医師に相談しましょう。
⑨いよいよ出産
麻酔が効きすぎているとうまくいきめない可能性があります。その場合は無痛分娩の麻酔を中断することもありますが、多くは助産師さんに子宮の張りと呼吸のタイミングを合図してもらってうまくいくことが多いです。
赤ちゃんが生まれたら無事に終了です、おめでとうございます。
出産するときに会陰部切開をしていればその縫合処置をしたりしますが、麻酔が効いていれば痛みは少ないことが多いです。
出産が終わって大体2〜3時間後、特に出血に問題がなければ背中のカテーテルを抜去します。
抜去後は背中の傷を綺麗にして、自然無痛分娩は終了となります。
お産で出血が多かった方は、カテーテルを抜くときに出血するリスクが上がると言われており、1日様子を見たり、血液検査を追加したりすることがあります。
5. メリット
以下に自然無痛分娩のメリットを挙げていきます。
| メリット | 詳細解説 |
|---|---|
| ①自然なお産を経験できる | 自然に陣痛が始まってから無痛分娩を受けるので、子宮の準備が整った生理的な状態でお産を迎えることができます |
| ②初産婦でも受けやすい | 子宮の準備が整ってから無痛分娩を受けるので、初産婦でも分娩が長引くリスクが計画無痛分娩より低いと言えます。 |
| ③予定日前でも無痛分娩を受けられる | 24時間対応の施設が多いため、予定日前に急に陣痛が始まっても、そのまま病院を受診し、無痛分娩を受けられることが多いです |
| ④24時間対応である | 自然無痛分娩を実施している病院は基本的に24時間対応です。そのため計画無痛分娩と違って、夜中の間も無痛分娩を受けることができます。 |
| ⑤総合病院・大学病院が多い | 自然無痛分娩対応の病院は多くが総合病院、大学病院です。そのため産婦人科の他に、救急科、小児科、ICU、放射線科、NICUなどの科が揃っており、急変時にもスムーズに対応してもらえることが多いです。 |
6.デメリット
以下に自然無痛分娩のデメリットを挙げます。
| デメリット | 詳細解説 |
|---|---|
| ①出産日が決まっていない | 自然な陣痛を待ってお産を始めるので、必ずしも予定日にお産がくるとは限りません |
| ②お産の進行が早いと無痛分娩ができないことがある(特に経産婦) | 特に経産婦さんに多いのですが、陣痛が始まって病院を受診したところ、もうあと少しで生まれる状態になっている場合があります。麻酔が効くまでに最速でも30分はかかるため、お産が進みすぎていると無痛分娩が間に合わない場合があります。 |
| ③実施している施設が少ない | 自然無痛分娩は24時間対応である必要があるため、多くのスタッフを配置しなければならず、計画無痛分娩に比べて実施している施設は限られてしまいます。 |
| ④費用が高い | 多くのスタッフを必要とする分、費用が高くなる傾向があります。計画無痛と比較して大体5〜10万円ほど高いイメージです |
| ⑤前駆陣痛で受診すると入院できない場合がある | 陣痛が来たと思って受診したところ、まだ前駆陣痛だったため入院できないことがあります(あるある)。病院によっては電話相談もあるので、陣痛が来たと思ったらまずは相談してみると良いでしょう |
7.注意点
自然無痛分娩の落とし穴としては
・出産の予定が立てにくい
・お産の進行が早すぎると無痛分娩が間に合わない可能性がある
・実施している施設が少ない+費用はやや高め
などです。
自然無痛をやっているかどうか、費用はいくらなのか、当サイトでしっかり調べてみましょう!
8.医師からの一言
最後に私の意見ですが
『自然な陣痛を経験したい』
『無痛分娩を絶対に受けたい』
『高齢or合併症があってリスクがある』
といった妊婦さんは、24時間対応である自然無痛分娩が良いかもしれません。
一方で
『上の子が居たり、産後の計画を早めに立てたい妊婦さん』
『特にリスクのない妊婦さん』
『2人目以降でお産がスムーズに進みそうな経産婦さん』
といった人たちには計画無痛分娩がおすすめかもしれません。
どちらもメリットデメリットがあるので、それぞれにあったお産を選んで下さいね!
ではでは!
↓計画無痛分娩についてはこちらから
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