【現役医師が解説】無痛分娩の最先端、DPE法とは?
現役医師が解説!
無痛分娩の最先端、DPE(硬膜穿刺硬膜外麻酔)って?
「無痛分娩のやり方は色々あるって聞いたけど本当ですか?」
「無痛分娩の最先端の技術を知りたい!」
そんな疑問を持つプレママたちの間で、今注目されているのが「DPE(Dural Puncture Epidural)」という手法です。
欧米ではすでにスタンダードになりつつあるこの最先端の技術、従来の無痛分娩と何が違うのか、メリットデメリットは何なのか。
無痛分娩の現場で働く医師である私が分かりやすく解説します!
<目次>
・結論
・はじめに
・一般的な無痛分娩のやり方
・DPEってどんなやり方?
・DPEのメリット・デメリット
・まとめ
結論
DPE(硬膜穿刺硬膜外麻酔)とは、従来の無痛分娩のやり方である
①硬膜外麻酔の「安全性」
②脊椎麻酔の「効きの早さ」
の両方のメリットを良いとこ取りしたハイブリッドな手法です。
麻酔の効きが早く、かつ左右差が出にくいという特徴があり、より快適で質の高い無痛分娩を実現する最新の選択肢といえます。
欧米では既にスタンダードなやり方になっており、今後日本でも導入されていくものと思われます。
はじめに
日本でも無痛分娩を選択する方が年々増えています。
しかし、「麻酔をしたのに片側だけ痛かった」「効くまでに30分以上かかった」という声を聞くことも少なくありません。
こうした課題を解決するために登場したのがDPEです。これまで以上に「痛みを素早く、確実に取る」ことを目指して考案されました。
従来の無痛分娩のやり方
現在、日本の無痛分娩で最も一般的なのは「硬膜外麻酔(こうまくがいますい)」と「CSE(Combined Spinal-Epidural):脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔」と呼ばれる2つです。
①硬膜外麻酔のやり方
ベッドで横になって、背中を消毒した後に局所麻酔をします。
背骨の隙間から針を進めていき「硬膜外腔」という神経のすぐ近くのスペースに、細いカテーテル(チューブ)を入れます。
そのチューブから持続的に麻酔薬を注入し、痛みを和らげます。
この方法では脊髄の外側に麻酔薬を投与して、徐々に染みるように麻酔薬がじんわり効いてきます。
そのため安全性が高い一方、麻酔薬が神経に浸透するまでに時間がかかる(15分〜20分程度)という側面があります。
②CSE(脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔)のやり方
出産直前に無痛分娩を行う時など、できるだけ早く麻酔を効かせたい時に使うのがCSEという方法です。
こちらは先ほどの硬膜外麻酔よりさらに針を進めて、脊髄のある髄腔内に直接麻酔薬を注入する方法です。
CSEでは脊髄付近に直接麻酔薬を投与するため麻酔の効果が出るのが早く、2−3分ほどで鎮痛を得られるとされています。
ですが急激に麻酔が効いて低血圧になったり、麻酔が効き過ぎる高位脊髄麻酔などを起こすリスクがあります。
そこで、安全性が高く&早く麻酔が効くという両方の良いとこ取りをしたのがDPEという方法です。
DPEってどんなやり方?
DPEは、正式名称をDural Puncture Epidural(硬膜穿刺硬膜外麻酔)といいます。
やり方は通常の硬膜外麻酔とほぼ同じですが、一つだけ大きな違いがあります。それは、カテーテルを通す前に、さらに細い針で「くも膜(神経を包む膜)」に目に見えないほどの小さな「穴」を一つあけることです。
この小さな穴を開けることで、これが「通り道」となり、カテーテルを通して硬膜外腔に投与した麻酔薬がスムーズに神経へ届くようになるのです。
DPEのメリット・デメリット
メリット
効きが早い: 小さな穴を開けることで薬が浸透しやすくなり、従来よりも早く痛みが取れます。
仙骨部位(お尻)の鎮痛の質向上: S領域への広がりが良くなり、肛門付近の痛みが取りやすくなると言われています。
麻酔のムラが少ない: 小さい針を刺すことで針が真ん中にあるかどうかの判定になります。「左側だけ痛い」といった左右差や、効きムラが起こりにくくなります。
お産への影響が少ない: 薬の量を抑えつつ効果を出せるため、足の力が入りやすく、いきみやすさを維持できます。
デメリット
高度な技術が必要: 非常に薄い膜に正確に穴をあけるため、熟練した麻酔科医の技術が求められます。
| 評価指標 | DPE(硬膜穿刺硬膜外) | CEA(従来型硬膜外) | CSE(脊硬併用) |
|---|---|---|---|
| 鎮痛発現速度 | 中(10-15分) | 遅(15分以上) | 速(2、3分程度) |
| 麻酔効果の対称性 | 良好 | 左右差が生じやすい(片効き) | 良好 |
| 仙骨領域の遮断 | 良好 | 不十分なことが多い | 良好 |
| 低血圧の頻度 | 低 | 低 | 比較的高 |
| 母体満足度 | 非常に高い | 高 | 非常に高い |
★DPEによるPDPH(硬膜穿刺後頭痛)のリスクは上昇しないとされています。
★文献によっては針が細すぎる(27G)と麻酔の効果が早く出るというメリットはない可能性もあると言われております。
まとめ
DPEはこれまでの無痛分娩の弱点を補い、より「早く、確実に、優しく」痛みを取り除くための最新技術です。
もちろん、どのお産にもリスクはゼロではありませんが、DPEという選択肢を知っておくことは、納得のいくバースプランを立てる助けになるはずです。
もし興味があれば、分娩予定の施設で「DPE(ディーピーイー)は行っていますか?」と相談してみてくださいね。
ではでは!
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