【現役医師が解説】PCAとかPIEBって何のこと?
現役医師が解説、PCA、PIEB、CIEって何?
〜無痛分娩の最新の「痛みのとり方」について〜
こんにちは、無痛分娩の現場で働く医師が運営する無痛分娩チャンネルです!
当サイトでは無痛分娩に対する疑問、不安、医学的知識について現役医師が丁寧に解説しております。
今回は無痛分娩でよく出てくるアルファベットの『PCA・PIEB・CIE』について解説していきます!
実はこれ、無痛分娩の要となる「麻酔薬の入れ方」についての用語で超・重要ワードなのです。
それでは早速解説していきますね!
<目次>
1.結論
2.はじめに
3.無痛分娩のカテーテルについて
4.カテーテルにつなぐ機械
5.CIE(持続注入)
6.PIEB(定時自動追加注入)
7.PCA(自己調節鎮痛法)
8.終わりに
1.結論
まずは結論から
『PCA、PIEB、CIE』とは麻酔薬を注入するポンプの設定のことを指します。
無痛分娩中は、背中に入っているカテーテルをポンプに接続して麻酔薬を注入していくのですが
・PCAとは痛くなったら妊婦さんが自分でボタンを押して麻酔薬を注入する方法
・PIEBとは一定間隔ごとに麻酔薬が自動で注入される方法
・CIEとは一定量の麻酔薬をずっと流し続ける方法
のことです。
最近の施設では『PCA+PIEB』の設定が多いです、最も効率的で、快適、安全性が高いとされているからです。
では詳しく解説します。
2.はじめに
無痛分娩を希望される妊婦さんからよく聞かれるのが、「ずっと麻酔が効いているの?」「痛くなったらどうするの?」という質問です。
実は、無痛分娩の質を左右するのは、麻酔薬の濃度と量だけでなく、その「投与の仕方」にもあるのです。
『麻酔薬は最初の1回でガツンと入れるのが良いのか』
『少量をチョロチョロ持続投与するのが良いのか』
『それとも定期的に追加していくのが良いのか』
…
今回は、最近の無痛分娩で主流となっている3つの投与方法である「CIE」「PIEB」「PCA」について解説していきます。
3.無痛分娩のカテーテルについて
無痛分娩(硬膜外麻酔)では、背中の「硬膜外腔」という場所に、非常に細くて柔らかいプラスチック製のチューブ(カテーテル)を留置します。このカテーテルを通して、陣痛の強さに合わせて麻酔薬を注入していきます。針は最初に入れる時だけで、その後はカテーテルが背中に付いたままの状態でお産を進めます。
またお産は数時間から、長い方では1日以上に及びます。そのため、麻酔を「一度打って終わり」にするのではなく、お産が終わるまで継続的に薬を送り続ける必要があります。
この「薬を送り続ける仕組み」を自動化・効率化したのが、次にご紹介する注入システムです。
4.カテーテルにつなぐ機械
背中のカテーテルは、専用の「精密輸液ポンプ」につながれます。
人力でやると投与時間ミスや投与量ミスなどのヒューマンエラーが起こりうるため、現在は機械で投与するのが一般的です。
このポンプにはあらかじめプログラムが組まれており、医師が設定した通りの量とタイミングで正確に薬を注入します。
では、その注入方法の種類を見ていきましょう。
5.CIE(持続注入)
CIE(Continuous Epidural Infusion)は、かつて最もスタンダードであった方法です。
どんな方法?:少量の麻酔薬を、蛇口から水がチョロチョロと出続けるように「一定の速度でずっと」流し続ける方法です。
例)1時間あたり10ccなど
メリット:常に薬が入っているため、急激な痛みの変化が起こりにくいのが特徴です。
デメリット:少量をチョロチョロ投与しているので、薬液に勢いがなく麻酔薬がしっかりと広がりにくい
麻酔薬を広げるためには総投与量が増加してしまい、運動神経麻痺まで起こることが多かった
そのため、現在ではCIE単独ではなく、次に説明するPIEBに主役が移りつつあります。
6.PIEB(間欠的追加注入)
PIEB(Programmed Intermittent Epidural Bolus)は、近年の無痛分娩で非常に注目されている、いわば「最新の注入スタイル」です。
どんな方法?:一定時間おきに、ポンプが自動で「シュッ」と勢いよく薬を注入します。
例)1時間ごとに8cc投与など
なぜいいの?:チョロチョロ流す(CIE)よりも、勢いよく入れる(PIEB)ほうが、硬膜外腔という狭いスペースに薬が広く、均一に行き渡ることが分かっています。
メリット:
麻酔薬の投与に勢いがあり、麻酔の効果がムラなく広がりやすい
その結果として使う薬の総投与量を抑えられる可能性がある
また足の力が入りにくくなる(運動神経麻痺)を軽減できる可能性がある
2026年現在、多くの論文で『PIEBの方が鎮痛効果が高い、総投与量が減らせる、運動神経麻痺を起こしにくい』という報告がなされており、PIEBがCIEよりも優秀であると考えられています。
7.PCA(自己調節鎮痛法)
PCA(Patient-Controlled Analgesia)は、妊婦さん自身が痛みをコントロールする仕組みです。
どんな方法?:妊婦さんが手元のボタン(下の写真の青いボタン)を押すことで、好きなタイミングで1回分の麻酔薬を追加できるシステムです。
メリット:
「あ、少し痛くなってきたな」と思った瞬間に自分で対応できる
「自分で痛みをコントロールできている」という安心感につながる
安全性:押しすぎても過剰投与にならないよう、一度押すと次の注入まで一定時間が空かないと薬が出ない「ロックアウトタイム」が設定されています。
例)1回ボタンを押したら、次の20分間は何回ボタンを押しても麻酔薬が流れないように設定する
ハイブリッドな運用が主流! 多くの病院では、「PIEB(自動注入)+ PCA(痛い時に自分で押す)」という組み合わせで、常に一定の無痛状態を保ちつつ、強い陣痛の波にも対応できるよう工夫しています。
8.終わりに
無痛分娩は、ただ痛みを取るだけではなく、お母さんの体力を温存し、笑顔で赤ちゃんを迎えるための選択肢の一つです。
「PCA」や「PIEB」といったシステムは、安全かつ快適にお産を進めるための強力なサポーターです。もしお産中に「少し痛いな」と思ったら、遠慮せずにPCAボタンを押したり、スタッフに声をかけてくださいね。
私たち麻酔科医は、これらの機械を駆使して、あなたにとってベストな無痛分娩をサポートします。
この記事が、あなたの無痛分娩への不安を解消する一助となれば幸いです。
ではでは!
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