妊婦さんの不眠について
現役医師が解説!
妊娠中の不眠について
体への影響とその対策とは
「妊娠してから夜何度も目が覚めちゃいます…」
「お腹が重たくてぐっすり眠れない…」
妊婦さんの睡眠の悩み、本当に良く耳にします。
事実、妊娠中の睡眠トラブルや不眠症状は、妊婦さんの約半数以上が経験する非常に身近で切実な問題なのです!
今回は現役医師が「不眠の原因と赤ちゃんへの影響」、「時期別のトラブルと解消法」についてわかりやすく解説します!
心も体も楽にしてマタニティライフを過ごすために、ぜひ最後までチェックしてくださいね!
<目次>
1.結論
2.赤ちゃんへの影響は?
3.ホルモンバランスと睡眠
4.妊娠初期の不眠(~14週)
5.妊娠中期の不眠(14~27週)
6.妊娠後期の不眠(28週~)
7.不眠解消法
8.おすすめの姿勢
9.睡眠薬について
まとめ
1. 結論
結論、妊娠中に多少眠れなくなったからといって「すぐに赤ちゃんに悪影響が出る」ということはありませんので安心してください!
ただし、慢性的な睡眠不足を放置してしまうと、お母さんの血圧や血糖値のコントロールが乱れやすくなり、早産や低出生体重児、陣痛が長引くといったリスクが高まることが分かっています。
また適正な睡眠時間は、米国睡眠医学会では7時間以上、厚労省の睡眠ガイド2023では6時間以上とされており、個人差はありますが、少なくとも6時間以上が望ましいと考えられます。
2. 赤ちゃんへの影響
「お母さんが眠れないと、赤ちゃんも苦しいのかな…?」と心配になりますよね。
事実、慢性的な不眠が続くと母体に以下のような変化が起き、間接的に赤ちゃんにまで影響することが分かっています。
👇母体と赤ちゃんに与える影響
■妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病のリスク⤴︎
睡眠不足によってストレスホルモンが増えたり、交感神経が優位な状態が続くと、血圧が上がりやすくなったり、体内のインスリンの働きが弱まって血糖値が上がりやすくなります。
■分娩時間の延長や帝王切開率⤴︎
ストレスホルモンが子宮への血流を低下させたり、筋疲労や体力不足でお産が長引いたり帝王切開になる確率が上がるとされてます。
■早産や低出生体重児のリスク
睡眠不足でお母さんのストレスホルモン(コルチゾールなど)が高まると、陣痛誘発や子宮収縮が促されやすくなる可能性があります。
3. ホルモンバランスと睡眠
そもそも、なぜ妊娠するとこんなにも眠れなくなってしまうのでしょうか?
その最大の原因は「ホルモンバランスの劇的な変化」です。
妊娠すると、妊娠を継続させるために「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という女性ホルモンが大量に分泌されます。
このプロゲステロンには体温を上げたり、強い眠気を引き起こしたりする作用があります。そのため日中に強い眠気に襲われる一方で、夜間は体温が下がりきらずに浅い睡眠になりやすくなるのです。
4. 妊娠初期の不眠
妊娠初期(〜13週)は、ホルモンバランスの変化に一番影響される時期です。
👇妊娠初期の不眠の原因
プロゲステロンの急増:日中の猛烈な眠気と、夜間の浅い睡眠を引き起こします。
つわりの不快感: 吐き気や胃のムカムカで夜中に目が覚めてしまいます。
精神的な不安: 妊娠が判明した喜びと同時に、「無事に育つかな」という不安から神経が昂ぶってしまいます。
5. 妊娠中期の不眠
妊娠中期(14〜27週)はつわりが落ち着き「安定期」と呼ばれますが、新たな体の変化が訪れます。
👇妊娠中期の不眠の原因
子宮の拡大と胎動: お腹が大きくなり始めることで腰痛が出たり、元気に動く胎動で目が覚めたりします。
息苦しさ・胸やけ: 子宮が胃や横隔膜を押し上げるため、横になると息苦しさを感じることがあります。
6. 妊娠後期の不眠
妊娠後期(28週〜)は、不眠の悩みがピークに達する時期です!
👇妊娠後期の不眠の原因
頻尿: 大きくなった子宮に膀胱が圧迫され、夜中に何度もトイレに起きることになります。
足をつる・むずむず脚症候群: 身体のカルシウム不足や血流低下により、夜間に足がつったり脚がムズムズして眠れなくなります。
出産へのプレッシャー: 「お産の痛みは大丈夫かな…」という緊張感から不眠が加速します。
7. 不眠解消法
「じゃあ、どうしたら快適に眠れるの?」と思いますよね。
薬に頼る前に、まずは毎日の生活でできるセルフケアを試してみましょう!
👇不眠を和らげる4つのセルフケア
■寝る30分前のスマホ・PCを控える
ブルーライトは睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌を邪魔します。必ずベッドにはスマホを持ち込まないようにして、部屋を暗くしてリラックスしましょう。
■就寝90分前にお風呂で温まる
38〜40℃くらいのぬるめのお湯にゆっくり浸かると、お風呂上がりに体温が下がっていくタイミングでスムーズに入眠しやすくなります。
■日中に散歩や仮眠をとる
日光を浴びることで睡眠ホルモンの分泌が調整されます。日中に20分程度の散歩をして適度に身体を動かしましょう。またどうしても眠い時は「20分程度」の短時間の仮眠をとるのがおすすめです。
■「寝なきゃ」というプレッシャーを捨てる
「8時間寝ないと赤ちゃんに悪い」と思い込むのが一番の天敵です!「横になって目を閉じているだけでも、身体の8割は休まっている」と気楽に考えましょう。
8. 姿勢が大事!
お腹が大きくなってきたら、寝る時の「体勢」を工夫するだけで劇的に睡眠の質が変わります!
おすすめは断然「シムス位(Sims' position)」です!
👇シムス位のやり方
体の左側を下にして横向きに寝ます。左脚は楽な位置に伸ばし、右脚の膝を軽く曲げます。
抱き枕やクッションを右脚の下に挟むと、腰やお腹への負担が減ってさらに楽になります!
身体の左側を下にして寝ることで、背骨の右側を通る下大静脈への圧迫を避け、子宮や胎盤への血流がとっても良くなります。
息苦しさや腰痛に悩んでいる方はぜひ試してみてくださいね!
9. 睡眠薬について
「どうしても眠れなくて限界…市販の睡眠改善薬や眠気覚ましを使ってもいい?」と聞かれることがありますが、自己判断での服用はNGです!
睡眠薬や睡眠導入剤については、医師の管理のもとで慎重に選択する必要があります。
ベンゾジアゼピン系など 妊娠初期の奇形のリスクは低いとされていますが、妊娠終盤に常用していると赤ちゃんの筋力が低下したり鎮静状態になったりするリスクがあります。
漢方薬の活用 産婦人科では、安全性の高い漢方薬(抑肝散や加味逍遙散など)をお母さんの体質に合わせて処方することがよくあります。
必ずかかりつけの産婦人科医に相談して安全なお薬を処方してもらいましょう!
まとめ
妊娠中の不眠は、お母さんの身体が赤ちゃんを迎えるために一所懸命変化している証拠でもあります。
「眠れないこと」自体に罪悪感を持つ必要は全くありません!
もし「疲れが取れなくて辛い」「精神的に参ってしまう」と感じたら、一人で抱え込まずに妊婦健診で主治医や助産師に遠慮なく相談してくださいね。
お母さんと赤ちゃんの安全で快適なマタニティライフを、全力で応援しています!
ではでは!
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