無痛分娩と自閉症のリスクについて

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合併症・リスクについて

現役医師が解説

無痛分娩と自閉症の

関係性について!

こんにちは!現役医師が運営する無痛分娩チャンネルへようこそ!

「無痛分娩で自閉症リスクが上がるって本当!?」

「赤ちゃんへの発達に影響はないの?」

「ネットの記事や噂を見て怖くなって…」

と赤ちゃんの発達への影響を不安に思っている妊婦さんから相談されることがよくあります。

そこで今回は現役医師が、「無痛分娩と自閉症の関係」について分かりやすく解説していきます、ご参考になれば幸いです!

 


<目次>
・結論
・衝撃的な論文
・世界の反応
・その後の研究
・まとめ


結論

ネットで無痛分娩について調べると、様々な情報が飛び交っていて「何が本当なの?」と混乱してしまいますよね。ですが結論から言いますと

無痛分娩の麻酔薬が赤ちゃんを自閉症にする科学的根拠は全くありません!

 現在では、世界の医学界で「関連なし」と決着がついています。ASDに加えてADHDのリスクを上げる科学的根拠も現時点ではありません。

ではなぜそのような噂が広まったのか、そしてなぜ否定されたのかを詳しく見ていきましょう。

 


衝撃的な論文

2020年、アメリカでも有数な権威ある論文雑誌であるJAMA Pediatricsに衝撃的な論文が掲載されました。

その内容が『無痛分娩が自閉症リスクを上昇させうる』という内容だったためです。

論文はこちら:JAMA Pediatr. 2020;174(12)

 

内容を大まかに要約すると

・2008年から2015年の間に分娩された147,895人の赤ちゃんを対象とし、その内の74%ほどが無痛分娩を受けていた

・分析の結果、無痛分娩を受けた子のASD診断率は1.9%で、受けなかった子は1.3%であった

・さらに無痛分娩の時間が長くなるにつれてリスクが上昇する可能性も指摘された

というものです。

 

この論文は『データが数十万人規模』『権威ある雑誌が掲載』『社会への影響の強さ』などから当時大きな衝撃を呼びました。

この論文は海外のメディアで大々的に報じられ、世界中の妊婦さん、医療スタッフにパニックが起こりました。「赤ちゃんのために無痛分娩をキャンセルする!」という事態になった病院も少なくありません。

それほど大きなインパクトを与えたのです。

川崎市自閉症協会より

世界の反応

しかし、現場で働く医師たちは、「ちょっと待て、このデータ分析はおかしくない?」と気づきました。

そして、論文発表の直後に、日米の学会をはじめとする世界中の専門機関が異例のスピードで「この論文の結果を鵜呑みにしないで!」という共同声明を出したのです。

というのも、この研究には大きな欠点があったのです。

 

👇研究の欠点

合併症データの欠落:この研究では『分娩遷延』『胎児機能不全』などいわゆる難産の割合を調整できていなかったのです。難産であればあるほど痛みが強く無痛分娩を選択する割合が増えます。

医学的関連性の欠落:無痛分娩では硬膜外腔に低容量、低濃度で麻酔薬を投与します。これが母体の血液、胎盤を通って胎児の脳に到達する量は無視できるほど極めて微量で、胎児の神経発達にダメージを与える証拠は今までの研究では存在しないのです。

自閉症の成り立ち:自閉症の発症には、遺伝的な要因やお母さんの年齢、妊娠中の合併症(肥満、糖尿病など)が複雑に関係していることが分かっており、微量の麻酔薬単独が自閉症を起こす可能性は低いと考えられました。

 

つまり『無痛分娩を選択したから自閉症になったのでは無く、将来的に自閉症を起こすリスクの高い妊婦さんが無痛分娩を選ぶグループに多かった』だけだったのです。

この現象は医学用語で『交絡』と言い、この研究は交絡因子を排除できていなかったのです。
 

 


その後の研究

その後、世界中の研究者たちがこの問題の再検証に立ち上がりました。 特に決定的だったのは、「同じお母さんから生まれた兄弟姉妹」を比較した2021年のカナダの研究です。

論文はこちらJAMA Pediatr. 2021 Jul 1;175(7)

 

上の子は自然分娩で産み、下の子は無痛分娩で産んだ…というような兄弟を十万人規模で調査しました。

その結果、同じ遺伝子・同じ家庭環境の兄弟間で比べると、自閉症のリスクに全く差がないことが証明されたのです。 条件をきっちり揃えて検証すると、麻酔薬の影響は「ゼロ」であることがはっきりしました。

またその後、2023年に発表された北欧での450万人を対象にした研究でも、同じ母親から生まれた兄弟間で比較した場合、ASD、ADHD共にリスクは上がらないという結果になりました。

これらの結果は「硬膜外鎮痛がASDを引き起こす」という説を完全に否定するものとなりました。

 


現在の見解

2026年時点では、日本麻酔科学会、日本産科麻酔学会、そして米国の産婦人科・麻酔科学会なども揃って『子どもの発達への影響を心配して無痛分娩を避ける必要性はない』と明確な声明を出しています。

現在の無痛分娩(硬膜外麻酔)は、背中の神経の周りに局所麻酔薬を少量投与するだけであり、赤ちゃんの発達に影響を与えるようなメカニズムは考えにくいです。

日本麻酔科学会の声明 / 米国麻酔科学会の声明


まとめ

少し専門的な話になりましたが、いかがでしたか?古いニュースや不確かな噂に惑わされず、安心して無痛分娩を選んで大丈夫です!

無痛分娩は、お母さんの痛みを劇的に和らげ、リラックスして出産に臨むことができ、産後の回復を助ける素晴らしい医療です。「自閉症になるかもしれないから…」と、痛みを無理に我慢する必要はありません。

ネット上の情報で不安になったときは一人で抱え込まず、いつでも担当の医師や助産師さんに相談してくださいね。

ではでは!

 


もっと合併症・リスクについて詳しく知りたいという方はこちらの記事をご参照ください。

①無痛分娩・おなかの赤ちゃんへのリスクとは?

②無痛分娩・お母さんへのリスクとは?

③無痛分娩・お産の進行に与える影響とは?

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