【現役医師が回答】無痛分娩の意外な落とし穴って?
現役医師が解説!
無痛分娩の意外な落とし穴!
こんにちは、無痛分娩の現場で働く医師が運営する無痛分娩チャンネルへようこそ!
今回は無痛分娩の『意外な落とし穴』についてです。
お産の痛みを取り除き、リラックスして赤ちゃんを迎えたい」という願いを叶えてくれる無痛分娩。
日本でも選択する方が増えていますが、一方で「いつでも、誰でも、完璧に痛みゼロ」という万能な魔法なわけではないことも事実です。
事前のカウンセリングではお伝えしきれない、「実は知っておいてほしい注意点」をわかりやすく解説いたします。後悔のないお産にするために、ぜひ最後までチェックしてみてください。
<目次>
1.無痛分娩を希望しても受けられない人もいる
2.無痛分娩中は食事禁止になる
3.無痛分娩が間に合わない場合がある
4.麻酔が効くまでタイムラグがある
5.お産が進まないと始められない
まとめ
1. 無痛分娩を希望しても受けられない人もいる
残念ながら、希望すれば誰でも無痛分娩ができるわけではありません。安全を最優先するため、以下のようなケースでは麻酔が制限されることがあります。
血液が固まりにくい: 血液をサラサラにする薬を飲んでいる方や、血小板が少ない方は、背中で出血(血腫)を起こすリスクがあるためガイドラインにより禁じられています。
重度の感染症: 背中の穿刺(せんし)部位に感染がある場合、細菌を脊髄近くに運んでしまう恐れがあります。
背骨の病気や手術歴: 麻酔の針を通す背骨に強い変形があったり、背中の手術の既往がある場合、麻酔が技術的に難しいことがあります。
高度な肥満:施設にもよりますが、BMI 35を超えるような高度肥満の方だと、麻酔の針を背骨のスキマから通すことが難しく断られることがあります。
多くの病院では、無痛分娩を実施する前に一度事前の診察や説明の外来があるはずなので、その時に過去の病歴を医師にしっかり伝えておきましょう!
2. 無痛分娩中は「食事禁止」になることが多い
意外と知られていないのが食事の制限です。麻酔が始まってから、あるいは分娩直後までは、基本的に「絶食」をお願いする病院がほとんどです。
なぜ食べてはいけないの? 万が一、緊急手術(緊急帝王切開)が必要になった場合、胃の中に食べ物が入っていると、全身麻酔の際に嘔吐して窒息したり、肺に内容物が入る「誤嚥性肺炎」を起こしたりするリスクがあるからです。事実、1900年代は多くの妊婦さんが食事をした後に帝王切開を行い、誤嚥性肺炎で亡くなるMendelson症候群が報告されました。
妊婦さんはホルモンの影響や、子宮が大きくなっている影響もあり、吐き気を催したり、実際に吐いてしまうリスクが通常より高いので要注意です。
ただし、水分補給(水やスポーツドリンク)は許可されることが多いので、各施設のルールを確認しましょう。
3. 無痛分娩が「間に合わない」場合がある
無痛分娩は魔法ではありません。準備には物理的な時間がかかりますし、また病院側が人手不足で対応しきれない場合があります。
以下に、無痛分娩が間に合わなくなるパターンをご紹介します。
①経産婦さんは要注意: 特に経産婦さんの場合に多いのですが、陣痛が来て病院を受診したらすでに子宮口全開大になっていた…というパターンです。お産の進行が非常に早いと、無痛分娩の麻酔が間に合わないことがあります。
②夜間や休日の体制: 特に計画無痛分娩で多いのですが、24時間対応ではない施設だと、麻酔科医が不在の時間帯にお産が急激に進んだ場合、無痛分娩の対応ができないケースも存在します。
絶対に無痛分娩を受けたい方は、24時間対応の計画無痛分娩、自然無痛分娩の両方に対応している病院を選ぶのが良いでしょう。
4. 麻酔が効くまでには「タイムラグ」がある
無痛分娩は「針を刺したらすぐに麻酔薬の効果が出て痛みが消える」と思われがちですが、実際には少し時間がかかります。
薬や器具の準備、姿勢の協力:10分程度
背中の処置(カテーテル挿入):10〜30分程度
薬を注入してから効き始めるまで:10〜20分程度
つまり、処置を開始してから痛みが和らぐまで、トータルで30分から1時間弱はかかる計算です。
「今すぐこの痛みを取って!」というタイミングで呼んでも、効果が出る頃にはお産がさらに進んでいることも。
早め早めのコミュニケーションが大切です。
※今にも生まれそうだけど、無痛分娩はどうしてもしたい…という場合はより即効性の高いCSEという方法がございます。
施設によって対応・未対応あるため一度ご確認ください。
■CSEについての解説記事はこちらです。
【現役医師が解説】無痛分娩のCSE法って何!?
5. ある程度お産が進まないと始められない
「痛くなるのが怖いから、陣痛が始まる前から麻酔をしてほしい」というご希望も伺いますが、多くの施設では「陣痛が定期的になり、子宮口がある程度開いてから」麻酔を開始します。
理由: あまりに早い段階で麻酔をかけると、麻酔の効果で陣痛が弱まってしまい(微弱陣痛)、お産の進行が止まってしまうことがあるためです。
そのため無痛分娩による麻酔の投与を開始しても、分娩の進行を妨げられないタイミングを産科医と麻酔科医が見極めています。
施設にもよりますが
『子宮口開大3〜5cm』『子宮頸管の展退度が5〜60%以上』『陣痛の間隔が5〜6分以内』
あたりが目安です。
まとめ
無痛分娩は、痛みを和らげることでお母さんの体力を温存し、産後の回復を早めてくれる素晴らしい選択肢です。
しかし今回お話ししたような「制限」や「タイムラグ」があることも理解しておくと、当日パニックにならずに済みます。
「自分の場合はどうなるの?」と少しでも不安に思ったら、遠慮なくバースプランの相談や健診時に質問してくださいね。
ではでは!
Admin
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