太ってると無痛分娩できないって本当!?
現役医師が解説!
太ってると無痛分娩NG!?
体重と無痛分娩の関係について
「太っていると麻酔が効きにくいの?」
「最近、かなり体重が増えちゃって…」
無痛分娩を考えている妊婦さんからこういった不安の声を良く耳にします。
事実、妊婦さんの体重とBMIは無痛分娩の麻酔を安全に行うために、医者が最も気にするポイントの1つなのです!
今回は、無痛分娩の現場で働く医師が「体重と無痛分娩の関係」や「体重制限のワケ」をわかりやすく解説します。
安全でリラックスしたお産にするために、ぜひ最後までチェックしてくださいね!
<目次>
1.結論
2.無痛分娩の麻酔方法
3.肥満だと難しい理由
4.BMI35以上だと厳しい?
5.対応策
6.肥満の他の妊娠中の合併症
まとめ
1. 結論
結論、体重が多いからといって絶対に無痛分娩ができないわけではありません。しかし標準体型の方に比べると技術的な難易度やリスクが高くなるのは事実です。
病院の設備や医師の熟練度によっては、安全性のために無痛分娩をお断りしたり、大学病院などへ紹介したりするケースもあります。
具体的には、『高度の肥満(特にBMI35以上)』だと、安全上の理由からお断りされてしまうケースが急増するというのが実情です。
なぜ肥満だと無痛分娩のハードルが上がってしまうのか、詳しく解説していきます!
2. 無痛分娩の麻酔方法
まず無痛分娩の麻酔について簡単に解説します。
無痛分娩では主に「硬膜外麻酔(こうまくがいますい)」という方法がとられます。
これは背中から細いチューブを入れて、脊髄近くにある「硬膜外腔」というわずかな隙間に局所麻酔薬を注入する方法です。
麻酔薬を血管内に投与しないので母子ともに安全性が高く、麻酔薬も少量投与で済むため現在では一般的な方法となっています。
この麻酔を安全に行うためには、医師が背骨の隙間を正確に指で触知し、ミリ単位の精密さで針を進める必要があります。
3. 肥満だと難しい理由
では硬膜外麻酔のやり方を踏まえて、なぜ肥満だとこの硬膜外麻酔が難しくなってしまうのでしょうか。
👇肥満によって難易度が上がる3つの理由
①背骨の目印が触れない
麻酔の針を刺す際、医師は背骨を触って「どこに針を刺すか」を決めます。
しかし背中に厚い皮下脂肪があると、背骨の凹凸が指で全く触れなくなってしまい、手探りで針を進めなければならなくなります。
②麻酔のスペースまでが遠い
脂肪が厚い分、皮膚から目的の「硬膜外腔」までの距離が長くなります。
距離が遠ければ遠いほど針のコントロールが難しくなりますし、通常より長い特殊な針が必要になることもあります。
③麻酔の調整が難しい
カテーテルが入ったとしても、脂肪が多い方は硬膜外腔が圧迫されていて、思ったより麻酔薬が広まってしまったり、逆に脂肪に麻酔薬が溶けて早く効果が切れてしまったり、麻酔のコントロールが難しいです。
4. BMI35以上だと厳しい?
安全管理の観点から「BMI」による制限を設けているところも少なくありません。具体的にはBMIが35以上の高度肥満に分類される場合、無痛分娩が厳しくなるケースが多いです。
BMI 30未満: ほとんどの施設で可能です。
BMI 30〜35: 施設によって対応が分かれます。麻酔科医が常駐している大きな病院などでは受け入れ可能なことが多いです。
BMI 35以上: 設備と人員が揃った総合病院や大学病院での管理が推奨されます。
ちなみにBMI35は、身長160cmの妊婦さんであれば89.6kgとなります。
5. 対応策
「じゃあ、太っていたら諦めるしかないの?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。以下のような対応策があります。
👇肥満の妊婦さんのための対応策
①超音波(エコー)ガイド下での穿刺
最近では背中にエコーを当てて、背骨の位置や麻酔を入れるスペースを確認しながら針を刺す技術が進歩しています。これによって、脂肪で骨が触れなくても安全に麻酔を行えます。
②産科麻酔の専門医がいる大病院を選ぶ
24時間麻酔科医が常駐している総合病院や大学病院なら、肥満の麻酔に慣れた医師が対応できるため、受け入れてもらえる可能性が高くなります。
③妊娠中の適切な体重管理
後述しますが肥満では他の合併症のリスクも高まるため、産科医の指導のもとで適切な体重管理を行うことが何よりのセルフケアになります。
6. 肥満の他の合併症
麻酔の難易度が上がるだけでなく、肥満は様々なリスクを高めることが分かっています。
無痛分娩を検討する以前に、お母さんと赤ちゃんの安全のためにぜひ知っておきましょう!
| リスク | 具体的な影響 |
|---|---|
| 妊娠高血圧症候群 | 血圧が上昇し、お母さんの肝臓や腎臓の障害、赤ちゃんの胎盤機能不全を引き起こす原因になります。 |
| 妊娠糖尿病 | 血糖値が上がり、赤ちゃんが巨大児(4,000g以上)になりやすく、難産のリスクが高まります。 |
| 微弱陣痛 | 産道にも脂肪がつくため赤ちゃんが通りにくくなり、お産が長引きやすくなります。 |
緊急帝王切開になる確率自体が、肥満の方では高くなってしまいます。だからこそ、事前の管理がとても重要なのです。
まとめ
「太っているから」と諦める必要はありません。現在の医学では、エコー技術の活用や専門医による管理で、安全に無痛分娩を行える選択肢が広がっています。
ただし、標準体型の方よりも綿密な準備と、適切な病院選びが必要になるのは間違いありません。
もし体重のことで不安があれば、妊婦健診の際に「この体重でも無痛分娩は可能ですか?」「どこの病院なら安全にできますか?」と気軽に相談してみてください。安全でリラックスしたお産を目指して、一緒に一歩ずつ準備していきましょう!
ではでは!
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